登山中に目撃した事故や病気と山岳事故の発生確率

登山関連情報

 下界で暮らしているときの事故の代表的なものは交通事故だと思います。登山中に発生する事故は転倒、滑落、遭難などがあり、下界の事故より発生確率は圧倒的に高いと思います。大雑把な推定ですが、確率は1桁は確実で、場合によっては2桁くらい高いのではないでしょうか。病気も下界にいるときより高山にいるときの方が罹りやすいと思います。私は危なかったことは何回かあります<登山に関連して身の危険を感じたこと>が、幸いなことに登山中に事故に遭ったり病気になったことはありません。日本百名山登山中に事故や病気を目撃したことはありますので、その時のことを記します。

 2008年9月のことですが、穂高岳山荘から奥穂高岳への上り口のところの地面に血が流れているのを見つけました。被害者の方は近くにおられませんでしたが、状況から落石に遭われたのだと思います。当時はこの辺りでヘルメットを着けている人は少なかったようですが、落石が多いのでしょう、2014年9月にここを訪れた時には半数近くの人がヘルメットを着けられていました。私の記憶では、日本百名山ではこの辺りと剱岳でヘルメットを着用していた人が多いです。私はヘルメットを持ってませんが、今後これらの山に行くときには持参するつもりです。

 2010年9月に北アルプスの双六小屋から笠ガ岳に向かう稜線で足を捻挫した人がおられました。同行者の方につかまらないと歩けない状態で、かなりの時間をかけて笠ヶ岳山荘まで辿り着かれていました。同行者がおられなかったら、どうされていたのでしょうか。次の日は自力では下山できずに、ヘリコプターを呼ばれていました。私は足を痛めた場合に備えるためにも、ストック2本を持って登山をしています。上りには使わず、下りにのみ使います。足の負担が軽減されるので、予防にもなります。

 2022年7月の暑い時に岩手山から下る最中に、熱中症になって動けなくなった人がおられて、ヘリコプターの出動がありました<東北の夏の日本百名山は暑い>。上記の件と同様に、山中で動けなくなるとヘリコプターに頼らざるをえません。

 感覚的に、山岳事故は交通事故よりもかなり起きやすいと思っていますが、どれだけ起こりやすいという正確な統計はありません。そこで、概算してみました。警察庁の統計によると、2021年の全国の交通事故死者は2636人で、山岳事故死者(行方不明者も含む)は283人です。交通事故死者の方が一桁多いです。起こりやすさを比べるためには、対象者の人数と時間(事故に遭う機会)を考慮する必要があります。交通事故対象者は全国民と言えるでしょう。また、一人当たりの一日の交通事故に遭う可能性のある時間は、歩行者、車の運転者、車の乗客の場合が含まれますが、大雑把に一日平均1時間とします(仮定1)。一方、山岳事故対象者は登山者・山菜採取者などですが、全国民の1/100くらいではないでしょうか(仮定2)。また、一人当たりの一日の山行時間は1/10時間(一か月で3時間)とします(仮定3)。これらの3つの仮定のもとに対象者の人数と時間を概算すると、交通事故の方が山岳事故より事故に遭う機会が3桁多くなります。実際に発生している死亡者は山岳事故の方が1桁少ないですが、事故に遭う機会が3桁少ないとすると、山岳死亡事故の方が交通死亡事故より2桁発生しやすいことになります。これは私の実感と矛盾していません。山岳事故は交通事故に比べて、大変発生しやすいので、注意が必要です。山岳事故の原因は沢山ありますが、主なものに、道迷いと滑落があります。山岳事故を起こさない秘訣は、無理な山行を行わないことでしょう。

岩手山の下山途中で、熱中症で動けなくなった人を救助するためにヘリコプターが飛んできました。
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