日本百名山で最も難しかったのは幌尻岳

百名山登山記

 私が日本百名山の中で総合的に最も難しいと感じたのは幌尻岳でした。一般的なルートは西側からで、奥幌尻橋のゲートから幌尻山荘まで林道を歩いて(途中から額平川の渡渉を繰り返す)幌尻山荘まで行き、そこから山頂まで登ります。幌尻山荘から山頂までの標高差は1,100mほどありますが、途中に湧き水(命の水)があり<日本百名山の思い出の水>、登頂が特に難しいわけではありません。なお、<日本百名山で最も滑落の恐怖を感じるのは剱岳><日本百名山で最も体力が必要なのは平ヶ岳>だと思います。

 何が難しいかと言いますと、幌尻山荘まで辿り着くのが難しいのです。第1関門は、休日の幌尻山荘の予約が取りづらい点です。平取町のホームページで、2023年分は2022年12月15日から予約を受け付けています。私が最初に予約しようとしたのは2015年の6月頃だったと記憶しています。当時は4月頃からの予約開始だったと思いますが、すでに満席でした。翌2016年には早々に予約し、飛行機の手配もしましたが、あいにく登山予定日の天候が悪く、直前にキャンセルしました。その次の年の2017年は予約(予備日も含めて2泊分)もでき、天候にも恵まれました。なお、とよぬか山荘から奥幌尻橋のゲートまでのバスの予約には困りませんでした。(2023年9月28日追記 幌尻山荘ですが、キャンセルが時々出ますので、平取町のホームページを頻繁にチェックしていれば、直前でも予約できる可能性はあります。)

予約が難しい幌尻山荘

 しかしながら、厳しい第2関門が待ち受けていました。渡渉です。渡渉があるのは、百名山の一般的なルートでは唯一ここだけです。慣れている人ならなんともないでしょうが、私のように渡渉を行ったことがない人には難関です。林道の半ばくらいから渡渉が始まり、同じ川を十数度渡ります。時期や天候によって水量は違うようです。水量が多い場合は流されて命を落とすこともあります。私が渡ったのは7月中旬で、その直前は雨は降っていませんでしたが、7月は雪解け水のため、水は冷たく水量はやや多い(膝のあたりまたはそのやや上)ようでした。川幅は10m前後だったと記憶していますし、渡渉箇所は目印が付いていて迷うことはありません。サンダルに履き替えて、最初の渡渉を行ったところ、驚いたことにあまりにも水が冷たくて足が凍りそうな感覚になり(しかし、恐らくですが、水温は10℃以上はあったと思います)、思わず途中で引き返してしまいました。3年目にしてやっとここまで辿り着けたので、すんなりと帰るわけにはいかず、必死のパッチ(一生懸命の最上級、関西の方言)(実はこの他にも登山中に必死のパッチになったことがあります<登山に関連して身の危険を感じたこと>)で渡りました。足は冷たさに慣れてきて、なんとか行けるような雰囲気になってきました。私見ですが、渡渉のコツは、滑りやすい岩の上は避けて、多少深くても砂の上を歩くことだと思います。一度、岩で滑って水面に浮いてしまいました。リュクを背負っているので、顔が水面下に来ます。水量が膝あたりだったので、危険な目に遭いませんでしたが、前日の雨などで水量が多い場合は溺れてしまいます。無理をしてまで渡渉はしない方がよいので、予備日を少なくとも一日設けておくことをお奨めします。

幌尻岳頂上(一番高いところ)。手前は北カールで、迂回して頂上を目指す。
幌尻岳の頂上(写真の右外で写っていない)直下の北カール越しに戸蔦別岳を望む
幌尻岳山頂。他の登山者がいなかったので、セルフタイマーで撮影。北海道の100名山は空いています。

 山頂付近の景色は素晴らしいです。カールが雄大で、日高の山々が見渡せます。渡渉をしてまでも行く価値は十二分にあります。山荘の予約は2泊分していましたが、最後の日の天気予報が悪かったので、一泊しかしませんでした。一日目に渡渉と登山をして山荘に泊まり、二日目は同じ林道を戻りました。次の機会があれば、水温が高く水量が少ないと言われている9月初めに、戸蔦別岳まで足を延ばしたいと思います。なお、幌尻山荘は暖房があり、暖かかったです。南側からのルート(避難小屋新冠ポロシリ山荘利用、ただし雨で通行できないこともあるので事前に調べてください。深田久弥はこちらから登っています。)もありますが、道がわかりにくい所もあるようです。

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Comments

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