シカによる食害を受ける日本百名山の高山植物

登山関連情報

近年、シカが増えすぎて植物を食い荒らす食害が増えていると言われています。日本百名山及びその周辺に自生する高山植物も例外ではありません。私が知っている日本百名山の食害について記します。いずれも保護柵が設置して対策が施されていました。

1.南アルプスの悪沢岳(荒川岳)と荒川小屋の間のお花畑 ここの斜面には、7月後半~8月前半にかけて、ハクサンイチゲやミヤマキンポウゲ(シナノキンバイかもしれません)が所狭しと咲き誇っています。しかし、写真を注意深く見ると、保護柵の外側にはほとんど高山植物が生育していません。保護策の効果が顕著に出ています。下の2枚目の写真の背景は赤石岳です。

2.尾瀬ガ原のニッコウキスゲ 2009年の7月20日に尾瀬ガ原を訪れた際には、あちこちに多くのニッコウキスゲが見られました(下の一枚目の写真、背景は燧ガ岳)。ところが、2019年の7月21日に尾瀬ガ原を訪れた際には、ニッコウキスゲは防護柵(試験的に一部のエリアで導入し始めたとのことです)の内部(写真の手前側)には少し見られましたが、その外側ではほとんど見られなくなっていました。年によってニッコウキスゲの生育が異なる可能性もありますが、シカの食害が顕著のようです。

3.大峰山の八経岳のオオヤマレンゲ 八経ヶ岳の山頂から少し下ったところの保護柵の中に群生していました。実物を見て、まさに「高貴な天女の花」という印象を受けました。外観にふさわしい、控えめですが気品のある香りがします。7月の初めに咲きます。この花を見るためにわざわざ3時間ほどかけて登山をする価値は十分にあると思います。保護柵がなければシカに食べられてしまうようです。<大峰山の山岳信仰の中心は山上ヶ岳>

上記の3例以外にも、多くの日本百名山でシカによる食害が発生していることでしょう。シカが増えている最大の理由は天敵のニホンオオカミが絶滅したことのようです。オオカミは人が手を出さない限り人を襲うことはないと言われています。もしもこれが真実なら、外国からオオカミを輸入して山に放す手段も考えられますが、オオカミの方からは決して人を襲わないことを慎重に検証しておく必要があるでしょう。

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