採掘されている伊吹山

百名山比較分析

 伊吹山の登山道は南側にあります。登山中にはわかりませんが、少し離れたところから見ると山の南西側が人工的な形をしています(写真の左側)。新幹線の車窓から見ると、この写真よりもはっきりわかります。Wikipediaによりますと、「伊吹山の石灰岩は1950年ごろからコンクリート・セメントの需要急増により大規模に採掘が進められ、南西の稜線は山容が変貌するまでに大きく削り取られた」とあります。深田久弥は著書「日本百名山」の伊吹山のところで、「近年はその山麓にセメント工場が建った。これは伊吹山が全部石灰岩から成っていることに、企業家が目を付けたのである。」とふれていますが、採掘には言及していません。深田久弥の時代にはあまり採掘が進んでいなかったのかもしれません。現在も採掘が続けられているようですが、伊吹山は伊吹大明神が宿り、古事記や日本書紀にも登場する由緒ある山です。また、高山植物の宝庫であり、かつては織田信長が薬草園を開いています。

 日本二百名山の1つである埼玉県の武甲山<登山に関連して身の危険を感じたこと>も石灰岩で成り立っていて、現在も採掘されています。伊吹山の山頂付近は採掘が行われていないようですが、武甲山では、鎌倉時代には熊野権現社が建っていた山頂が削られ、標高はかつての1336mから1304mになったとWikipediaに記載されています。個人的にはこのような歴史のある山々で現在も採掘が続いていることをとても嘆いています。日本百名山や二百名山でも、国立公園のような自然保護区でなければ開発を止めることができないのでしょう。一方、コンクリートやセメントは人々の生活に必要不可欠であることも事実です。

伊吹山の南西側(左)です。他に適切な写真がなく、わかりにくかもしれませんが、採掘により人工的な形になっています。
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