ネパールトレッキング5-12

ゴーキョ・ピーク

5回目のネパールトレッキング(ゴーキョ・ピーク往復)は終了しましたが、ネパールでのトレッキングを計画されている方のために、種々の情報を掲載しておきます。お役に立てていただければ幸いです(2024年6月)。

出発の経緯: 第4回トレッキング(アンナプルナサーキット2023年5月)の終了時にはトロンラ峠を越えたという達成感があったので、再度ネパールにトレッキングに行くつもりはなかった。しかし、自分の撮ったアンナプルナの写真を見ていると、日本の山とは明らかに迫力が違っていて、再度ネパールに行きたくなってきた。また、それほど強くはないが、エベレストを見たいという気持ちは以前からあった。混んでいるところは避けたいので、地球の歩き方を見てゴーキョ・ピークを選んだ。仕事の都合と、寒いのは苦手なので、4月後半の出発を選んだ。前回には高山病の兆しはなかったので、今回も高山病の心配はあまりしなかったが、私には高所で喉にダメージを受けて咳が止まらなくなるという体質があるので、ゴーキョ・ピーク(5360m)に到達できる可能性は70%くらいだと思っていた。人の力を借りずに自分一人でトレッキングをしたいという思いが強いので、ガイドもポーターも雇わなかった。年々体力や気力が落ちているので、出発前からゴーキョ・ピークは今回が最後のチャレンジだと思っていた。下表に今回のトレッキングの概要を示した。一日の歩行時間を見ればわかるが、高地での順応を考慮しているので、かなりのスローペース。前後のカトマンズ泊については表に記していない。

月日天気宿泊地ロッジ名標高歩行時間溶存酸素
4/24曇りパクディンホテル ビアガーデン26103時間
25晴れナムチェホテル ノーリング34407
26晴れナムチェホテル ノーリング3440089%
27曇りポルツェ・テンガポルツェ・テンガ ゲストハウス3680583
28晴れルザロッジ カンテガ ビュー4360578
29晴れマッチェルモピースフル ロッジ4410183
30晴れゴーキョチョー・オユ― ビュー ロッジ4750482
5/1晴れルザロッジ カンテガ ビュー4360783
2晴れポルツェ・テンガポルツェ・テンガ ゲストハウス3680391
3晴れクムジュン仏陀ロッジ3790392
4曇りチュモアサナム ロッジ2950597
5曇りルクラシェルパ ロッジ コーヒーハウス28405
6晴れカトマンズ0

日程 日本を出発したのは4月22日で、戻ってきたのは5月13日の22日間。かなり余裕のある日程を組んだ。トレッキングを行ったのは、帰りのルクラ泊を含めて12泊13日。地球の歩き方のモデルコース(行きは高度順応のためにゆっくり)にほぼ従った。違うのは行き帰りともにポルツェ・テンガに泊ったこと(ここは谷底に位置していて、前後の場所より少し低くなっている。体に少しでも負担をかけないためにと思って泊まった)、帰りにクムジュンに寄ったこと、帰りは疲れていたのでスローペースだったことくらいである。日程は奇跡的と思えるほど順調に進んだが、遅れる可能性はいくつもあった。例として、ルクラ行きの飛行機のチケットが取れない(今回は偶然であるが、ヘリコプターを利用できた)、カトマンズ・ルクラ間の飛行機が天候のために2-3日飛ばない(頻度は不明だが、ざらにあるというネットの書き込みがある。運が悪く往復とも2-3日飛ばなければ、これだけで4-6日の遅れになる)、トレッキング中に天気が悪い(この場合は高度順応の日に充てることもできる)、体調が悪くなる(高山病;ゴーキョでの宿泊者のうち、約3%が高山病のためヘリコプターでカトマンズまで搬送されるとのこと、風邪、疲労など)など。帰りの日本へのフライトが変更不可のチケットを持っている場合は、トレッキングに必要な日数+前後併せて最低限5日は確保した方が良さそうである。

急登箇所 全体的に傾斜はなだらかであるが、以下は急登だと感じた。往路;ナムチェ手前の橋からナムチェまでの標高差約600m(この直前に間違えてラバ道を通って、余計に200mほど登ったこともあり、ここが最もきつかった)、ポルツェ・テンガからドーレまでの標高差約400m(朝一に登ったのでそれほどきつくはなかった)、ゴーキョからゴーキョ・ピークまでの標高差約600m(最も標高の高い所の急登で、息切れが激しい。朝一で、軽装で登ったので、ナムチェ手前の急登より登りやすかった)、復路;ポルツェ・テンガからモン・ラまでの標高差約300m(朝一に登ったので登りやすかった)。

健康状態 高山病の症状はほぼ出なかった。ナムチェで2泊、及び、ルザからマッチェルモは1時間歩行だったので、実質2日の高所順応日を設けた。順応日を設けなければどうなっていたかわからない。高山病の何らかの症状が出る人の方が圧倒的に多いようだが、私は高山病に耐性の体質をしているのかもしれない。一方、風邪による咳であるが、出発前から喉が痛くて少し出ていた。トレッキング中に徐々に酷くなってきた。ゴーキョピークは咳が出て登りづらかった(標準時間が2時間のところ、2時間半かかった)くらいで、トレッキングに大きな影響はなかった。一方、復路の就寝前によく咳が出たが、どこのロッジも防音機能がほとんどないので、隣の部屋に泊った人には迷惑をかけただろう。

天気と時期 ポルツェ・テンガよりも奥はずっと天気が良く、遠くの山もくっきり見えた。しかし、ポルツェ・テンガよりも手前では空気が澄んでおらず、山はきれいには見えなかった。気温のせいだと思われる。昨年のアンナプルナサーキットでは例年より寒かったようで、5月前半でも山が良く見えた。年によって気温は違うようである。寒さと空気の澄み具合は相関がある。せっかくネパールまで来ても山がきれに見えないと、来た意味がないので、4月上旬までにトレッキングをするのがよいのかもしれない。ゴーキョ・ピークを含めて、トレッキングのルートに雪は全く残っていなかった。キャンヅマでエベレスト街道から外れてから一気に人が少なくなり、また、ピークシーズンが過ぎていたので、ロッジは5月1日のマッチェルモを除いて空いていて、一人部屋が確保できた。5月1日のマッチェルモが混んでいたのは、推測であるが、カトマンズとルクラ間の飛行機が数日間飛ばなくて、カトマンズに滞留していた人がシンクロしてマッチェルモに到達したのではないかと思う。こういう場合は、他のトレッカーが泊らないマイナーな村落(ポルツェ・テンガやルザなど、これらの村落には1軒ずつロッジがあるが、ほとんどのトレッカーは泊まらない。ただし、近隣の村落で開いていることを確認しておく必要はある)に泊る方法もある。

費用 概算で記す。成田とカトマンズの往復航空券(ネパール航空)123,000円、旅行保険12,000円、カトマンズとルクラの往復航空券67,000円、ビザ7,500円、日本国内交通費6,000円、これらにネパールで3週間の滞在中にかかった費用を加えると、合計は302,000円(土産以外の全ての費用を含む)(ツアーに参加したり、ガイドやポーターを雇う場合に比べて安いです)。

ビザ、許可証、ガイド: ビザは入国時にカトマンズの空港で簡単に取得できる。写真は不要。30日用は50USドルだった。ルクラを出るところで、クーンブ入場料(トレッキングカード)2000ルピーを支払う。ジョルサレの手前でサガルマータ国立公園入場料(入場許可証)3000ルピーを支払う。トレッキングカードと入場許可証はポルツェ・テンガの先のチェックポイントなどでチェックを受ける。ガイドを雇わなくてもトレッキングできる。どこのチェックポイントでも、ガイドを雇う義務があることは言われなかった。2割くらいのトレッカーはガイドもポーターも雇っていないようだ。

持ち物:「持って行って良かったもの」①パルスオキシメーター;高山病になっているかの目安になる。②リップクリーム;日焼けなのか乾燥なのか、唇が荒れるので、重宝した。③スニーカー;山道の歩行中以外はずっと履いていた。④インスタント味噌汁(タトパニ(熱湯、私が知っている唯一のネパール語)はどこのロッジでもメニューにある。5回もネパールに行っているのに1つだけしかネパール語を知らないのは情けない)、「持っていけば良かったもの」①寝袋;重いので持って行かなかった。ほとんどのロッジはそれほど寒くはなかった。もう少し寒い時期なら必需品。中古品ならナムチェでも調達できる(新品があるかどうかは知らない)。

カトマンズ滞在 今回は余裕のある日程を組んでいたが、トレッキングが順調すぎて、帰国前にカトマンズに6泊した。カトマンズ滞在中に1日は全行程徒歩にて古都パタン(写真)の観光をしたが、この日以外はずっとタメル地区にいて、土産を買ったり、日本料理店に行ったりして過ごした。「和み」の肉じゃが(写真)は絶品(ネパールで食べた料理でもう一つ絶品であったのが、以前にアンナプルナ地区のカロパニのシーユーロッジで食べたフライドライス ネパールのロッジの料理)であった。日本料理店の「和み」や「絆」は日本のメーカーの醤油(製造地はシンガポール)を使っている。関税がかかるので1Lのボトルが900ルピー(約1000円)ほどすると言っていた。タメル地区は車とオートバイが溢れていて、歩いていると交通事故に遭いそうで、相当の神経を使う。タメル地区で休養したければ外出を極力控えるのがいい。

結び: ゴーキョ・ピークからの眺望は、エベレストを初めて見ることができ、他の多くのヒマラヤの山々並びに氷河や湖を見渡すことができ、これまでに見た山の景色の中で間違いなくベスト1である。これまで見た景色の中で2番目以降に、アンナプルナベースキャンプ、マナン、プーンヒルからの眺望が挙げられる。エベレストは25Kmほど離れたところにあり、山頂付近しか見ることができないが、周りの山では一番高いことが容易に判別でき、世界の山の盟主であるという風格が感じられた。カラ・パタールには行かなかったが、以前に登山ガイドをしていたルザのロッジのオーナーは、カラ・パタールから見える山の数は少なく、また、(何故かわからないが)ゴーキョ・ピークからの方がエベレストが大きく見えると言っていた。ゴーキョまでのトレッキング道からの景色は比較的単調で(進行方向にチョー・オユ―がずっと見えている)、ゴーキョ・ピークで急に展望が開ける。ゴーキョで天候が悪くても、良くなるまで待ってゴーキョ・ピークに登らないと、このコースに来た意味がほとんどないと思う。このためにも(他の理由は前述)、日程に余裕を持たせることを奨める(ピークシーズンなら毎日天気が良いのかもしれないが)。一人でトレッキングしたので、ゴーキョ・ピークに到達するのに精神的に疲労した。4000mを越えるところからは、できるだけ早く低いところへ戻りたい気持ちが強かった。高山病の対策のために一日の歩行距離短くしたのであるが、それでも老体にはきつかった(若い方なら、ガイドやポーターを雇わなくても体力的にはそれほどの負担はないと思います。ただし、高地順応はしっかりと行っておく必要はあるでしょう)。ゴーキョ・ピークからの景色を思い出すと、行けるうちにまた行ってみたい気持ちもある。一方、まだランタン地域には行っていないが、最高到達点がいずれも5000m未満で、混雑していないという。アクセスはカトマンズからバスで行ける。来年、もしもトレッキングに出かけるなら、ランタン地域になるかもしれない。

写真の説明(すべてゴーキョ・ピークから):1枚目 西側、2枚目 東側(望遠、エベレストとその周辺の山々)、3枚目 東側(広角、エベレストとゴジュンバ氷河。この氷河のところどころに池ができているように見えるが、地球温暖化でこの氷河が溶け出すと、ゴーキョの村落が流されるかもしれない)、4枚目 南側(この写真は私が最も気に入っている写真の1つです)、5枚目 北東側 

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