日本百名山で最も滑落の恐怖を感じるのは剱岳

百名山登山記

 私は軽度の高所恐怖症です。日本百名山の一般的なルートで、最も滑落の恐怖を感じるのは剱岳です。このルートは南に位置する一服剱からの往復で、前剱を越えたあたりから、いつ滑落してもおかしくない箇所の連続です。例として、長さ4m、幅30cmの細い鉄橋(最初の難関です。手摺がなく、踏み外すと運が良くても大怪我です。このような恐ろしい箇所があることは予想外でしたが、前の人が通っているので、深く考えずに通りました。ゆっくり考える時間があったら、引き返していたかもしれません。)など、手を離したり、足を踏み外したらと命を落としそうな鎖場や梯子が複数あります(登山の途中で自信がなくなったら、勇気を出して撤退してください。このような方には下で紹介する早月尾根コースがあります。)。危険個所で特に有名なのはカニのタテバイとヨコバイです。タテバイ(3枚目の写真)は上りにあり、ほぼ垂直な崖を30mほど鎖を掴んで登ります。ヨコバイ(最後から2枚目の写真)は下りにありますが、鎖を掴んで崖を横に移動します。最初の一歩の足をかけるところがわかりにくいです。ヨコバイのすぐ下に長めの、ほぼ垂直のはしごがあります。これら以外にも滑落する危険性のあるところ(例:平蔵の頭、2枚目の写真)が存在し、前剱と山頂の間では生きた心地がしませんでした。混雑を避けるために上りと下りのコースが違っているところが多く、危険個所の多くは上りか下りのいずれかに通ります。このルートでは毎年のように死者が出ています。滑落の危険のある個所は他の山でもありますが、百名山の一般的なルート中でここが最も危険だと思います。しかしながら、剱岳山頂からの景色が素晴らしい(北アルプスの山々が見渡せて、立山越しに槍ヶ岳の穂先が見えます。状況がよければ富士山も見えます。)ので、私はこのルートを2回通っています。

 他のルートからも剱岳を目指せます。それは西側の早月尾根を辿るコースで、距離が長く標高差が大きいですが、上述の一服劔からのコースと比べると滑落の危険度は低いと思います。といっても過去に滑落の事故は発生していますので注意が必要です。途中に山小屋がありますので、ほどんの方はここを利用しているようです。私は無謀にも日帰りをしました<日本百名山での一日の標高差2000m超え>が、とてもハードでしたのでお奨めできません。上記2つ以外のコースはいずれも超上級者向けのコースで、一般的ではありません。関連記事<日本百名山で最も難しかったのは幌尻岳><日本百名山で最も体力が必要なのは平ヶ岳>

別山乗越から望む剱岳

別山乗越から見る剱岳

平蔵の頭(よく見ると人が登っているのがわかります)

平蔵の頭。剱岳通常ルートの難所の一つ。

カニのタテバイ

カニのタテバイ。剱岳通常ルートの難所の一つ。

山頂

剱岳山頂

山頂を立山を望む。立山越しに槍ヶ岳の穂先が見える。

剱岳山頂から立山を望む。立山の奥は北アルプスの山々。

八ツ峰

剱岳山頂から見る八峰の頭。素人では無理ですが、ここを登る人もおられます。

カニのヨコバイ

カニのヨコバイ。剱岳難所の一つ。

奥大日岳から望む剱岳

奥大日岳(200名山)から見る剱岳。別山乗越-奥大日岳ー大日岳ー称名滝のコースはお薦めです。

 逆にこのようなスリリングなルートに敢えて挑戦したい人は、穂高岳と槍ヶ岳の間の大キレットがあります。私は一旦降りてから登りたくなかったので、大キレットを2回通りました(北側からと南側から各1回)が、2回ともやはり生きた心地がしませんでした。もう高齢になりましたので、今後は行かないでしょう。他に、百名山登頂に必須のルートではありませんが、八ヶ岳の旭岳と権現岳の間の61段の梯子(傾斜はほぼ垂直に感じます)、北アルプスの白馬鑓ヶ岳と唐松岳の間の不帰(かえらずの)キレット(名前が悪い)、北アルプスの五竜岳と鹿島槍ヶ岳の間の八峰キレット、それに、木曽駒ケ岳の近くにある宝剣岳の北西側の道も剱岳や大キレットに次ぐ難所です。命が惜しくて行ってませんが、剱岳や大キレットより危険だと思われるのが奥穂高岳と西穂高岳の間のジャンダルムです。ここは滑落して亡くなる方が多いです。

関連記事<日本百名山を絡めた縦走のお奨め><日本百名山以外の名山><日本百名山達成に必要なもの>

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