谷川岳は、これまでの死者が世界一(1931年から2012年までで805名で、世界の8000m峰14の合計の637名を一山で上回っているという驚くべきデータがあります)の魔の山と言われています。理由は一ノ倉の絶壁のロッククライミングと、雪深い時期の滑落によります。無積雪期に一般道を行けば、遭難のリスクはそれほど高くはありません。現在では天神平までロープウェイを使用し、そこから山頂まで往復する人が最も多いと思います。私はこれまでこのコースで3回登っています。西黒尾根を使う健脚の人もおられます。しかし、オキの耳より奥に足を延ばす人は少ないでしょう。今回、谷川岳を越えて、一ノ倉岳、茂倉岳を経由して、土樽駅まで縦走してみました。谷川岳は天神平(南側)から何度も見てきましたが、一ノ倉岳・茂倉岳(北側)からの違った谷川岳北側の景色が楽しめました。このコースは、健脚な方は日帰りできますが、ガイドブックには谷川岳肩ノ小屋に一泊する日程が載っていました。私は日帰りで計画しましたが、体力の衰えや暑さを考慮しておらず、結果的には魔の山の恐ろしさを体験することとなりました。山を甘く見てはいけないと改めて思い知りました。
2023年7月6日に、ロープウェイ土合口駅にマイカーを駐車し、ロープウェイで天神平まで行き、9時10分に歩き始めました。肩の小屋で昼食休憩し、双耳峰の奥側のオキの耳に12時10分に到達しました。ほとんどの人はここから引き返すため、また、平日でもあり、オキの耳の先は人がほぼいなくなりました。会った人は同じ方向3名(追い抜かれた2名は土樽駅まで行かれたと思われ、追いついた1名は茂倉岳避難小屋に宿泊された)、すれ違った人2名(天神平から茂倉岳までのピストンの方と馬蹄形コースを来られた方)でした。トマの耳~茂倉岳から見る谷川岳とオジカ沢の頭方面は絶景(あくまでも個人の感想)であり、一見の価値があります。また、谷川岳からオジカ沢の頭、万太郎山を経て平標山までの稜線が素晴らしく、一度歩いてみたい(途中で避難小屋に泊まる必要あり)と思いました。標高は、谷川岳トマの耳1963m、谷川岳オキの耳1977m、一ノ倉岳1974m、茂倉岳1978mで、僅差ですが茂倉岳が一番高いです。
↓オキの耳から20分ほど行ったところから見える「一ノ倉岳(右)と茂倉岳(左)(1枚目)」、「万太郎岳(右)と仙ノ倉山(2枚目)」


↓一ノ倉岳付近から見る谷川岳(左)と万太郎岳・仙ノ倉山(右)

↓茂倉岳山頂付近から見た谷川岳(右)と一ノ倉岳(左)

↓「茂倉岳から少し下ったところから見た東北側の山々(右の高い山が朝日岳?)

茂倉岳避難小屋で14時40分になりました。昭文社の山と高原地図で土樽駅までの標準時間を確認したところ3時間40分で、18時9分の土合方面最終電車にぎりぎりであることがわかり、とても焦りました。矢場の頭まで急いだのですが暑くてスピードが出ません。そこから30分ほど急いで下ったのですが、電車の時間に間に合わないと思われました。駅で泊まることにし、水の残り(最初は1.75L持参の予定のところ、悩んだ末2L持参していましたが、この時点で残りは300ml位でした)を考慮して、ゆっくり下りました。約30分毎に休憩し、水を一気に飲みたい気持ちを抑えて50mLずつに制限しました。最後の方は下りでの衝撃に足の関節が悲鳴をあげ、非常にゆっくり(時速1Km以下)でしか歩けなくなりました。予想外の暑さと関節痛に苦戦して、18時頃になんとか登山口に辿り着いたのですが、水は飲みつくしていましたた。途中でかなりやばいと感じていました。しかし、この時は、これまでに世界最多の人命を奪ってきた谷川岳に来ていることは完全に忘れていました。山道があと1Km長いか、または、水があと250ml少なかったら(最初の予定)、動けなくなって、脱水症状のままビバークして、生命の危機に瀕することになったでしょう(過去に2回、深刻な水不足に陥ったことがありました。1回目は剱岳(日本百名山での一日標高差2000m超え)、2回目は霊仙山(登山に関して身の危険を感じたこと)。ただし、山道に溜まっていた泥水を飲もうとは全く思わなかったので、まだ若干の余裕があったのかもしれません。
↓矢場の頭から見た万太郎山

登山口に出てからは車道なので歩きやすくなり、平坦なので膝は痛くありませんでした。駅の近くまで来たら、道端に水飲み場(川の水)があったので、がぶ飲みをして(それでもここでは1Lも飲みませんでした)、生き返った気分になりました。駅には18時50分ごろに到着しましたが、無人駅で、周りには何もなく、飲み物の自動販売機が駅にあるだけ。こんなこともあろうかと半ば予想していて、食べ物を少し余分に持っており、薄いダウンの上着とシュラフカバーもあったので、駅で無事に一夜を過ごすことができました。オキの耳から一茂倉岳までの景色がハイライトでありますが、健脚でない方は、早く出発したり(休日は7時からロープウェイが動いていますが、季節により違うので、必ず確認してください)、茂倉岳から引き返すか、肩の小屋か茂倉岳避難小屋に泊まる方法もあります。今回、予想外の駅泊りになったのは私の見通しが甘かったからに他なりません。
関連記事:登頂経路により異なる景観の日本百名山、日本百名山を絡めた縦走のお奨め


コメント