キタダケソウにやっと逢えた!

百名山登山記

どの日本百名山も、ルートや季節を変えることにより、違った楽しさを味わうことができます。その1つとして、北岳(標高3183mで富士山に次ぐ日本で2番目に高い山、少しずつ隆起していて最初に登った時は3182mでした)の固有種であるキタダケソウがあります。絶滅危惧Ⅱ類で、北岳でも限られた場所にしか咲きません。最近は地球温暖化の影響もあり、6月中旬がピークとなります。この時期は梅雨で、まだ雪渓も残っています(今回は7月初旬ということもあり、肩の小屋を通るルートには雪渓は残っていませんでした)ので、日本百名山踏破が目的の場合は避けたい時期です。しかし、キタダケソウは是非とも見てみたいと、これまでずっと気になっていました。これ以上延ばすと体力的に無理になる(現在66才)と思ったので、2025年7月1日~2日にかけて、意を決して出かけました。北岳には今回で4回目の登山になります。2回目の時に、途中で会った人に影響されて日本百名山を目指すことになった思い出の山です。今回は平日だったこともあり、60代以上の方は推定ですが3割くらいおられました(行きに白根御池小屋に1泊される方もおられます)ので、志されあればまだまだ上れるのです。 

私は雨とわかっていると登山はしない主義ですが、今回は例外です。山小屋は予約が必要です。芦安までマイカーで行き、マイカー規制があるので、そこからバスで広河原(下の写真、広河原から見る北岳)まで移動します。このバスは今年は6月27日からの開通で、キタダケソウのピークは過ぎてしまっています。以前は6月中旬から、長野県側から北沢峠を越えて広河原までのバスがあったそうですが、現在は北沢峠ー広河原間は通行止めになっています。

広河原から大樺沢二俣の登山ルートは通行止めになっているので、多くの方は、肩の小屋経由で登っていました。私は行きに、キタダケソウの群生地であるトラバース道で時間を使いたかったので、白根御池小屋ー大樺沢二俣ー八本歯のコルのルートを選びました。大樺沢二俣ー八本歯のコル間は2010年8月に通った時よりもガレ場化が進んでいるようで、上りでも歩きづらかったです。下って来られた方が10mほど滑落して足に怪我をされていました。自力での歩行が困難な状態で、警察と救急隊の方が到着していましたが、結局はヘリコプター(下の1枚目の写真)で搬送されたようです。他に、雪渓(下の2枚目の写真、帰りに肩の小屋から下る際にこの辺りを写しました)で滑落して休まれている人もおられました。雪渓を渡る箇所(写真には写っていないようで、右上の方だと思います)にはロープが張ってあったので、アイゼンは持参していませんでしたが、ロープを持って渡りました。大樺沢二俣ー八本歯のコルのルートは危険なので、白根御池小屋では推奨していないと聞きました。

登山の上りではいつも感じるのですが、とてもつらく、来たことを後悔します。しかし、上りきると、(天気が良ければ)景色が良くなり、夏ですと涼しくなり、上りの辛さ以上の満足度が得られます。今回は、珍しく当日朝の予報が外れて、天気は良かったです。自信はありませんが、私の日頃の行いが良かったのかもしれません。更に、幸運にも八本場のコルでイワヒバリを見ることができました(下の1枚目の写真)。高山帯で見られる鳥の種類は限られています(他には、ライチョウ、ホシガラス、カヤクグリなど)。八本歯のコル付近から甲斐駒岳がきれいに見えました(2枚目)。

キタダケソウは、「花の部分はハクサンイチゲと全く同じで、葉だけが違っている」という間違ったネットでの情報を信じていました。キタダケソウが多く観察されるというトラバース道(翌日に山頂の直前にもわずかですが確認しました)では、「キタダケソウはすでにピークを過ぎていて、元気のない花がわずかしか観察されなかった。」と、すれ違った人から聞いていました。トラバース道(下の1枚目の写真)に着くと、白い花では、ハクサンイチゲが優占(2枚目)していて、チョウノスケソウと思われる花(3枚目)も見られましたが、キタダケソウがどれかははっきりとはわかりません。携帯(UQ)で写真を調べようとしましたが、インターネットが使えません。

周りの白い花を注意深く観察していると、それほど多くはありませんが、花弁がハクサンイチゲと比べて平面的で、雄しべが短く、葉の形が違う、気品のある花があり、キタダケソウに違いないと感じました(結果的に合っていました)。多くはピークを過ぎていたり、花弁が小さいものばかりでしたが、その中でも比較的状態の良いものについて写真を撮りました(下の写真)。一週間ほど前に来ていれば状況は違っていたと思いますが、キタダケソウにやっと会えて、感激です。5枚目の写真は左上だけがハクサンイチゲです。比べてみると違いがよくわかります。翌日、下山道で会ったキタダケソウのマニアの年配の女性(20年ほど、毎年この時期にキタダケソウを見に来られています)に教えていただいたのですが、15年ほど前は6月中旬に来ると(北沢峠経由のバスがあった、アイゼンとピッケルは必要)、ハクサンイチゲよりも早く咲くキタダケソウの大群落を見ることができたそうです。近年はキタダケソウが減ってきたと思われるが、ひょっとしたら6月中旬に来る(広河原までのバスが通っていないので困難ですが)と大群落を見ることができるかもしれないとのことでした。

急登で頻繁に休憩をとり、八本歯のコルでイワヒバリの写真を撮り、トラバース道でキタダケソウの写真を撮っていたので、広河原から北岳山荘までちょうど10時間かかりました。体力は年々衰えていますので、登山前には山小屋まで辿り着けるかどうかとても不安でした。八本歯のコルに着いた時点(登山開始後約7時間)で、この日のうちに山小屋にたどり着ける目途が立ちました。

翌朝は山小屋から富士山が見えました(下の1枚目の写真)。山頂手前に数輪だけキタダケソウが咲いていました(2枚目、真ん中がキタダケソウ、右のピントが合っていない花はハクサンイチゲ)。天気予報通りで、山頂に着いた時にちょうど雨が強くなってきました。山頂で自身の写真を撮ってもらいました(3枚目)。ここから広河原まではずっと下りです。ネットで見て知っていましたが、肩の小屋の前には面白い看板がありました。この時期に北岳に来て、悪天候で周りの山々の景色とキタダケソウを見ることができなかったら、北岳にキダダケとなってしまいます。昨日のルート(大樺沢二股と八本歯のコルの間)には滑落の恐れのある箇所が随所にありましたが、本日のルート(北岳山荘ー北岳山頂ー肩の小屋ー白根御池小屋の間)にはそれほど危険な箇所はありませんでした。しかし、雨が降っていて滑りやすいので、転んで怪我をしないように慎重に下りました。

途中で足が疲弊し、休み休みで7時間半かけて、無事に広河原に到着しました。朝食時に山小屋で、芦安ー広河原間は通行止めになっていると聞いていたのですが、9時に開通したとのことです。バスの出発までの時間が1時間以上ありましたが、乗り合いバスが、4人しか集まっていないのにすぐに出発してくれました。意外ですが、バスよりも僅かですが運賃が安かったです。下山から2日後の現在も太ももの筋肉痛が酷いです。北岳が名山であることは間違いありませんが、上りがきつく、キタダケソウを見ることができたので、再度行きたいという志は薄れてしまいました。

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