今年の1月中旬に北海道の野付半島でオジロワシ、ユキホオジロおよびハギマシコを観察しました(野鳥近影Jan2026-3)。今回の目的は夏羽のユキホオジロを撮影することでしたが、事前に野付半島ネイチャーセンターに問い合わせたところ、すでに抜けてしまったらしいとの返答をいただきました。女満別までの往復の航空券を買っていたので、対象の野鳥は決めずに、野付半島にいる野鳥を撮影してみることにしました。この時期の野付半島には多様な水鳥がいて、この日(4月1日)には、冬鳥のクロガモ、夏鳥のシロチドリ(関東以南では留鳥)、旅鳥のトウネンとツルシギ、および留鳥のタンチョウを観察することができました。
クロガモ カモ科 海にいる真っ黒なカモ。冬鳥として九州以北の海に飛来し、特に東日本、北日本の太平洋側に多い。波のうねりの先に沖合の大群が見え隠れする。頻繁に潜水を繰り返し、主に貝を食べる。オスは全身が真っ黒。メスは全身が黒褐色で、頬が灰白色。
外海の方に多数いました。数羽~十数羽のオスが群れを作って、風の音にも聞こえる、笛のような弱弱しい鳴き声を出して海に浮かんでいます。その中にメス(顔の下側が白い)が1羽まざっていることが多いです。他のメスはどこにいったのでしょうか。


トウネン シギ科 干潟(ひがた)などで普通に見られる、スズメ大の小さなシギ。旅鳥として全国に飛来し、本州中部以南では越冬することもある。干潟や砂浜などの沿岸部と水田や湖沼などの内陸のどちらでも見られる。単独でいることは少なく、数十羽からときには1,000羽以上の大群になることがある。雌雄同色。嘴と足は黒く短く、横長の体型。夏羽は頭から体上面が赤褐色と黒のまだら模様。冬羽は頭から体上面は灰褐色で、下面は白い。
野付半島の先端近くを歩いていると、前方200mくらいのところに小鳥の群れが降り立ちました。何の鳥かと思いながら進み、そろそろ群れがいる所ではと思った時に、弱い鳴き声が聞こえました。よく見ると10mほど前の砂利の上に20羽くらいの小鳥が休んでいました。遠方から到着したばかりで疲れていたので、逃げなかったのでしょうか。それとも、付近にオジロワシがたくさんいるので、猛禽対策として人を利用しているのでしょうか。私がさらに進むと、群れが近くに飛んできたので、追ってきたのかもしれません。野付半島野鳥図鑑(faura BOOKS)によりますと、「春は4月下旬から5月上旬に現れ、夏羽の姿をみせてくれる」とありますが、地球温暖化の影響でしょうか、4月1日にまだ冬羽の状態でいるのが観察できました。



シロチドリ チドリ科 砂浜にいる小型のチドリ。他種のチドリに比べて頭が大きく感じる。留鳥として全国に分布し、北日本では夏鳥。関東以西では越冬する。干潟でも見るが砂浜に多く、特に繁殖期は砂地に巣を作るため、出会うことが多い。オスの夏羽は頭が栗色で、額に黒い一本の横線がある。メスはオスの黒い部分がない褐色と白色の体。オスの冬羽はメスに似る。砂浜で普通に見られた種だったが、近年は著しく減少している。繁殖場所の砂浜が開発されているのが原因だと指摘されている。
野付半島の先端近くで数羽見かけました。1枚目は夏羽のオス、2枚目はメスだと思われます。私が歩いているときに何回か、20mくらい離れたところに飛んできて、じっとしていました。トウネンと同様に人を用心棒として利用しているのか、それとも人に興味を持っているのか不明です。私がそれ以上近づくと飛んでいきます。白くて鳴きながら飛ぶので、最初はひょっとすればユキホオジロかとも思ったのですが、飛んでいる姿がユキホオジロよりも丸みを帯びていました。北海道では夏鳥なので、最近、南方からやってきたのではないでしょうか。メスの方は足環をしていました。山階鳥類研究所で調査をしていますので、報告しておきました。


ツルシギ シギ科 全身が真っ黒な美しいシギ類。スマートな姿がツルを連想させるのが和名の由来という説がある。旅鳥として全国の水田やハス田などの淡水湿原で見られる、秋よりも春に多い。関東以西では越冬することも。水深がある湿地を好み、ドジョウなどの魚や水生昆虫を捕食する。雌雄同色。夏羽は全身が黒く、白いアイリングが目立つ。冬羽は体上面が褐色で白い斑点模様がアカシギと似ているが、本種は嘴の下側の付け根の下側だけが赤い。黒く美しい夏羽が見たいが、なかなか完全な夏羽には出会えず、冬羽から夏羽に移行しつつある個体を見ることが多い。ハス電など内陸湿原の減少によって、数が少なくなっている。
1羽で、淡水湿原ではなく、海水エリアにいました。この個体は冬羽と夏羽の移行期なのでしょうか。


タンチョウ ツル科 北海道東部に留鳥として分布する日本最大のツルで、国の特別天然記念物。国外では中国東北部や極東ロシアに分布するのみ。北海道東部で繁殖するが、近年は分布が拡大しつつある。冬季は保護増増殖事業のために設けられている、釧路湿原近くにある給餌場に集まって越冬する。雌雄同色。頭頂は赤く、首は黒い。尾羽のように見える黒い羽根は翼の次列と三列風切で、尾羽は白い。「丹」とは古い言葉で赤という意で、頭の頂が赤いから「丹頂」と名付けられた。この頭頂の赤い部分は羽ではなく皮膚で、興奮すると拡がる。
こちらも1羽でいました。かつて環境省レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類(VU)に分類されていた絶滅危惧種でしたが、個体数の回復により2026年3月公表の第5次レッドリストで「準絶滅危惧(NT)」へと引き下げられました。

野鳥の説明文は野鳥図鑑(日本文芸社)から引用しています。


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